シャンプーの役割
洗髪の際、使っていない人はまずいないものが「シャンプー」ですね。場合によってはシャンプーだけを使って、他のヘアケア用品は利用していないという人も多いと思います。
シャンプーは言ってみれば頭皮や髪に利用する「石鹸」で、皮脂などの汚れを浮かして洗い流しやすくするためのもの。
頭皮は身体の中でも皮脂の分泌が多く、しっかりと汚れにアプローチをする必要がある上に、髪の毛からも水分を失わせないようにケアを行う必要があるため、洗顔料など体の他の部位に利用されるケア用品とは大きく質が異なるものが多くなっています。
ちなみに、日本人は入浴時にほぼ毎回シャンプーをしますが、海外ではその頻度も少なく、2~3回のシャワーに1度しか洗わないという国も多数。そもそも入浴(シャワー)の回数自体が日本と比べて少ない所が多いので、シャンプーの回数は日本が抜きんでて多いといえます。
これは日本が暖かくて湿度が高いという気候にあるためで皮脂などでべたつきやすい事や、水資源が豊富だという事が理由とされています。
リンス・コンディショナーの役割
リンスやコンディショナーは、主にシャンプーでダメージを受けた、髪の表面にある「キューティクル」を保護するための役割とされています。
髪は中心部から「メデュラ」「コルテックス」「キューティクル」という大きく3つの層で出来ていますが、髪の一番表面、肌のようなイメージの部分がキューティクルです。
キューティクルは健康な髪であれば魚の鱗のように髪にぴったりと密着して、外部からの刺激を防ぐバリアとなっているのですが、シャンプーをするとこのキューティクルがはがされた状態になってしまいます。
リンスやコンディショナーを利用する事でこのキューティクルを保護し、元の閉じた状態に戻す事で、髪をサラサラに保つという事が、リンスやコンディショナーの役割です。
リンスやコンディショナーは頭皮につけてはいけない
リンスやコンディショナーは髪に膜を張るような方法でケアを行うのですが、頭皮についてしまうと毛穴を塞いだりとマイナスに働いてしまいます。
シャンプーは頭皮を洗いますが、リンスやコンディショナーは頭皮にはつけないようにして、髪につけてすぐ洗い流すようにしましょう。
トリートメントの役割
トリートメントは、髪を構成する内の「コルテックス」という髪の内部にある部分を補修する目的で主に利用されます。
コルテックスが補修される事で、髪がしなやかな弾力を持つようになり、切れ毛や癖毛などのトラブルが起こりにくくなります。コルテックスは肌でいえば真皮に近いイメージです。
髪の内部を補修するため、髪につけて暫く置いてから洗い流す事を推奨している商品が多いです。
美容院でのトリートメントと自宅でのトリートメントの違い
トリートメントというと、どちらかというと美容院でのトリートメントを思い浮かべる場合が多いと思います。
美容院でのトリートメントは、まず髪に熱を当ててキューティクルを開き、そこにコルテックスを補修する薬品を入れて、再度キューティクルを閉じる事で実施します。
補修した成分は通常2週間以内に洗い流されてしまうので、髪のトリートメント効果もそのくらいでなくなってしまう形となります。
一方、自宅でのトリートメントはシャンプーによって開いたキューティクルに対して補修成分を入れるという程度になるため、そもそも髪の内部までコルテックスの栄養を十分に届けるという事は難しくなっています。
どちらかというと、髪全体を補修するものではなく、キューティクルが開いて成分が流出しやすくなっている所に対する補修という形となるため、髪全体をしなやかにするというよりも、ダメージの回復や、美容院でのトリートメント効果を長持ちさせるためのものという効果が大きいと言えます。
それぞれ明確な定義があるわけではない
ここまで各ヘアケア用品の説明を行いましたが、実はコンディショナーやトリートメントに対して明確な定義があるわけではなく、メーカー判断によって商品が分類されているため、コンディショナーといってもコルテックスの補修成分が多く配合されたものがあったり、逆にトリートメントでもキューティクルのケアに重点を置いたものなど様々です。
あまりどちらを利用するという形で考えず、実際に成分を確認したり、利用してみたりして自分の目的とする髪質に近づくものを選ぶようにすると良いでしょう。
基本的な洗髪の方法
それぞれのヘアケア用品を最大限有効活用するための洗髪方法・流れをご紹介します。
1.ブラッシングで大きな汚れを落とす
美容院に行くとまずシャンプーの前に髪を見ながらブラシで梳かすかと思いますが、髪が乾いた状態でのブラッシングは、ホコリなど大きな汚れを落としてシャンプーの効果を高めるために有効です。
さっと櫛でなでるだけでもいいので、まずはブラッシングを行いましょう。
2.髪をぬるま湯で洗い流す
洗髪は、まず髪全体をしっかりとぬるま湯で濡らす事から始めます。
髪全体をぬるま湯で流す事で、簡単に除去できる皮脂汚れを除去し、シャンプーを行った際に洗剤が直接肌を荒らす事を防ぎます。
洗髪の際のお湯は38度~40度程度のぬるま湯が最適で、お湯が熱すぎると頭皮の保護に必要な皮脂なども除去してしまうので注意しましょう。
3.シャンプーを泡立てて使用する
シャンプーは、一度泡立てネットなどを利用してしっかりと泡立ててから使用しましょう。
原液をそのままつけると付けた所の肌がダメージを受けやすく、洗い心地にもムラが出来やすくなります。
しっかりと泡立て、頭髪・頭皮全体に万遍なく塗りこむようにしましょう。
洗髪の際は、爪を立てたりせず、指の腹で優しく頭皮を揉み込むようなイメージで洗う事も大切です。爪を立ててしまうと頭皮を削ってしまいダメージとなるので、注意しましょう。
4.しっかりとシャンプーをすすいで洗い流す
頭髪全体にシャンプーの泡がいきわたったら、ぬるま湯で洗い流します。
シャンプーが頭皮に残らないよう、特に耳の周囲など残りやすい場所に注意しながらすすぎましょう。
5.トリートメントを使用
シャンプーの後はトリートメントを使用します。水分を良く切って、可能であれば一度軽くタオルドライを行ってから使用すると、ケア効果を高める事が出来ます。
リンスやコンディショナーはキューティクルを保護するものなので、それより先にトリートメントを利用する事で髪の内部に補修成分を届けやすくしていきます。
トリートメントはつけてから暫く放置し、時間を置いてから洗い流すようにします。
6.リンス・コンディショナーを使用
最後に、リンスやコンディショナーを使用します。
コンディショナーは頭皮に付けない方が良いので、髪の根本までは使用せず、先端よりを中心に使うようにしましょう。
殆どの商品で、コンディショナーはつけた後すぐに流してしまって大丈夫です。
コンディショナーはなかなか落ち切った感触が得られないためすすぎが多くなりがちですが、髪を保護してサラサラにする事が目的なので、大まかなぬるぬる間が消えれば終了して大丈夫です。
7.髪を乾かす方法にも注意
洗髪後、髪を乾かす際はまずしっかりと吸水力のあるタオルを押し当てて水分を吸い取り、髪の根本を中心にドライヤーで乾かすようにします。
タオルでゴシゴシこすってしまうとキューティクルが傷みやすくなりますし、ドライヤーで根本が乾ききらないと雑菌の繁殖など頭皮のトラブルが発生しやすくなりますので、乾かす方法もしっかりと気を付けましょう。
トリートメントを使う頻度
自宅でのトリートメントケアについては、大体週に1、2回が推奨されます。
これはトリートメントを使いすぎると髪が重くなったりべた付いたりという場合があるためで、トリートメントを特別なヘアケアとして髪全体に利用する場合には、あまり頻繁に使用しすぎない方が良いでしょう。
ただし、一回の使用量を減らして、特に毛先側を中心にケアを行う目的として使用するのであれば、毎日使用した方が髪質を良く保つ事が出来ます。
ベタツキを感じるようになるのは根本側の方なので、コンディショナーと同じように毛先を中心に、少な目の量で毎日使用する事が、髪のケアには最適です。
美容院でのトリートメントは2週に1度が理想
美容院でのトリートメントについては、大体2週間程度で補修のトリートメント剤が流出してしまうため、2週間に一度程度の頻度でトリートメントを行う事が理想となります。
自宅でのトリートメントを毎日利用していれば少し長持ちしますが、基本的に自宅でのケアと美容院でのケアは別物ですので、美容院で手に入れられる髪質を保つのであれば、定期的に美容院でのトリートメントに通うようにしましょう。
よく聞く「ヘアパック」とは?
ヘアパックやヘアマスクといったケアについても、基本的にはトリートメントと同じ。これらは全て髪内部からの補修を目的としたものとなっています。
トリートメントやヘアパックの明確な違いはありませんが、多くの場合でヘアパックやヘアマスクは、トリートメントよりも更に補修効果が高いものとして販売されているようです。
ヘアパックの使い方は基本的にトリートメントと同じで、シャンプーの後に一度水分をきってから、髪のダメージが気になる場所を中心にヘアパックを塗って、10分程度置いてから洗い流します。
温めながら置いておくと髪の補修効果が高まるため、髪に塗ってから蒸しタオルやサランラップを髪全体を覆うように巻き付け、そのまま入浴をすると更に効果を高めやすくなります。
ヘアパックの商品ではなく、トリートメントを上記のような使い方でヘアパックとして利用する方法でも補修効果を高める事が可能ですのでおすすめです。