そもそもストレスとは何か
そもそも、何となく「嫌な出来事」に対してストレスという言葉を使っている人が多いと思いますが、ストレスとは元々distress(悩み)という言葉から来ているもので、1936年に発表された「ストレス学説」という医療用語から広まる事となりました。
似た言葉に「フラストレーション」がありますが、こちらは欲求不満を表す言葉で、フラストレーションがたまる事でストレスが作られるといった関係があり、混同されがちです。
ストレスは体を守る防衛反応
ストレスを広めた「ストレス学説」とは、ストレスを受けた時に人の体内では色々な反応を起こしてストレスに対応するというものですが、ストレスとは簡単に言えば人体に有害なもの全般の事。
ストレスを受けるという事は、極端な事を言えば「生命が脅かされている」状態に該当し、体を守るために色々な反応が引き起こされるという事になります。
例えばその一つが血管の拡張や心拍数の上昇で、ストレスによって命の危険を感じた体(脳)が、危険を回避する=その場から逃げやすい状態にするために、全身にエネルギーを送るための血流を増加させます。
また、長期的にストレスを受けると命を優先的に守るため、重要な内臓が多いお腹に脂肪を沢山つけて体を守ろうとします。
現代の人間社会にストレスの仕組みは適応していない
以上のようにストレスを感じた場合の体の反応は、弱肉強食の自然界であればとても重要な働き。でも、人間社会においてはそうそうストレスが命の危機に直結する事は無いですし、むしろストレスを感じてもその場から逃げられない。相手と戦う事も出来ないという場面が殆ど。
ストレスを感じた時の体の仕組みは、長い年月の中で遺伝子に組み込まれた反応であるため、現代社会で生きる人間に対してはむしろマイナスとして働いてしまう事すら多いという事が出来ます。
運動がストレス解消というよりも、ストレスは体を運動させるためにある
以上がそもそもストレスが何かについてですが、このストレスの働きの中で、一つ重要なポイントがあります。
それは、ストレスを感じた時の体の変化は、「その場から逃げる」または「相手と戦う」ための変化であって、つまりは体を動かすための変化であるという事。
運動がストレス解消法として推奨されるのは、そもそもストレスを感じると体が運動をしたくなるように出来ているため、そこで体を動かさないとストレスを貯め込みやすいからという事が一つの理由として挙げられます。
逆に、体が運動するように変化しているので、例えばストレスを感じたら走ってみたり(逃亡動作)、サンドバックを叩いてみたり(戦う動作)を行う事で、ストレスは解消しやすくなります。
もちろん球技などのスポーツを楽しむ事もストレス解消に良いのですが、そこに楽しみが無かったとしても、体の反応をそのまま有効活用するというだけでストレスは解消されるのです。
ストレスが溜まってないのに運動したらストレスになる
以上のように、ストレスを感じた場合の体の変化を素直に解消しようとすると運動が一番良い方法の一つになりますが、一方で、ストレスが無い状態で運動をした場合はどうでしょうか。
球技など、ゲーム要素を取り入れて単純に楽しめる運動の場合はストレス解消になる事が当然として、ただひたすら「走る」事や、サンドバックなどを叩くような運動の場合、単純に疲れます。
そもそも体が動こうとしていないのに動けば運動効率も上がらないですし、疲労がたまりやすくなってある意味で余計なストレスをため込む事にもなるのです。
また、運動を「痩せるため」など、何か目標をもって行う場合、その目標に達成しない状態が欲求不満=フラストレーションを貯め込む事となります。
そもそも運動がつらくて楽しくないだけという人は、こういった状態が重なってそもそも運動=ストレス解消とならない事が一つの理由なのです。
運動がストレスに感じる人は目標設定を細かくする
運動をする事がストレスになってしまう。
でも、ダイエットなどの為に運動(トレーニング)をしたい。
そういう人は、まず運動の目標を達成しやすいものにしましょう。
上で説明した通り、運動が続かない。ストレスになるという方は、運動そのものの疲労感に加えて目標が達成されない事によるフラストレーションが原因となります。
運動で疲れる事はある意味どうしようもないので、改善できる部分は目標の立て方の部分。つまり、目標をちゃんと達成できるものにして、フラストレーションを貯めず自己実現する事が有効なのです。
ただし、目標設定を低くすれば良いというわけではありません。目標を単純に低くしてしまうと、目標達成しても欲求不満になるだけなので逆効果です。
最大目標を細かく分けて1回毎の目標にする
やり方としては、まず数値化できる形で自分の最大限の目標を決めます。
例えば「体重-6kg」とか「ウエスト-6cm」といったものでも良いですし、「10㎞を1時間で走る」といったものでも良いです。
そして、この目標を達成したい日時を決め、現在から時間で単純に目標達成までの数値を割ります。
例えば半年後までに体重-6kgであれば、1か月毎に-1kg。1週間毎に-250gずつといった形です。
なるべく自分が運動を行う頻度まで割りましょう。例えば運動が1週間に1度なら1週間毎の目標。1週間に2回なら3日毎の目標くらいまで割るという形です。
こうする事で運動1回毎の目標が分かりやすくなり、且つ達成しやすくなるのでフラストレーションもたまりにくくなりおすすめです。
立てた目標は紙などに書き出して、達成する度にチェックしたりシールを張ったりという事が出来るようにしておくと、運動の習慣化や達成のモチベーションを保ちやすくなります。
運動以外で、ストレスによる体の変化を素直に解消する方法
以上、運動が何故ストレス解消に最適なのか。そして、人によって余計なストレスになってしまうのかという点についてご紹介しましたが、そもそもストレス解消には運動以外にも良い方法が沢山あります。
その中で、運動と同じように「ストレスによる体の変化」をそのまま発散させるタイプのものを紹介します。
大声を出す
ストレスを感じると、敵と戦うための体の変化が引き起こされます。
この時ボクシングなど戦う動作の運動をしなくても、大声を出すという形でストレスの解消を図る事ができます。
簡単に言えば、大声というのは相手に対する威嚇行為そのものですので、大量に息を吐いて音を出すという形で筋肉を使えば、戦う動作と同じようなストレス解消法が可能なのです。
マイクを使わず、大声でカラオケを歌うなども良いでしょう。
旅行に行く
ストレスは環境の変化に耐えられるよう、体の状態を変化させます。
旅行に行って強制的に環境の変化を引き起こしてしまえば、今度はその環境に対応するように体が変化し始めるため、ストレスによる体の変化をリセットする事が出来ます。
また、ストレスを感じる原因から物理的に距離を取る(逃避する)事が出来るため、ストレスが大きく解消されます。
ストレスによる体の変化を感じたら運動しましょう
ストレスを受けた時、イライラして足先などがもやもやしたり、貧乏ゆすりをしてしまったり、ため息が沢山出てしまう事がありますよね。
これはストレスによって心拍数が上昇していたり、呼吸の量が増えているという一つの印。
こんな時はお風呂などでリラックスするのも良いのですが、やはり軽めでも運動をする事がストレス解消の一番の方法です。
何も疲れ果てるまで運動する必要はないので、ちょっと散歩に出てみたり軽くトレーニングしてみたりといった形で、体を動かすストレス解消方法を取り入れてみてはいかがでしょう。