糖質とは? 何故摂取が必要?
糖質はタンパク質や脂質と並ぶ三大栄養素の一つ。さらにビタミンやミネラルを含め五大栄養素と言われる事もあります。
糖質の主な役割は、人が活動するためのエネルギー源。人が車だとすれば糖質はガソリンで、ちゃんと摂取しないと人の体は十分に活動する事が出来なくなるので、とても大切な栄養素です。
糖質が不足すると代謝が下がる
最近は糖質の量を減らす「糖質制限」がダイエットの主流となっています。
糖質制限は、糖質を制限する事で代わりに身体に蓄積された脂肪などがエネルギーとして利用されるようにしむけ、体脂肪の燃焼を行っていくという考えによるもの。
先ほどは糖質が車の「ガソリン」にあたるものだと紹介しましたが、実は人の体内では糖質が足りなければ変わりに脂肪やタンパク質を分解してガソリンを作り出すという働きがあるため、糖質を摂っていなくても活動が出来なくなるというわけではありません。
しかし、実はここには一つ問題があります。
糖質が無いからその代わりとして脂肪やタンパク質が使われるような状況の場合、脳は「糖質が中々摂取できない=ガソリンがなかなか手に入らない状態」と認識します。
すると、なるべくガソリンを使わない省エネな状態。人間の体で言えば、代謝機能が低下して新しい細胞や熱が作られにくい状態になります。
ダイエットでも美容でも代謝が活発に行われるという事は非常に重要で、糖質をカットする場合は代謝機能が低下しない範囲でコントロールする事が大切となります。
糖質は一気に摂り過ぎなければ太りにくい
糖質の摂取で一番問題となる行動は、糖質を一度に大量に摂取する事。
糖質は体のエネルギー源であるため、本来であれば食事によって取り入れた分は筋肉や脳が活動するためにどんどん利用されます。
しかし、糖質を一度の食事で沢山とると、活動するために必要なエネルギー以上の糖質が入ってくる事になりますので、人の体では多すぎる糖質を脂肪細胞の中に貯蔵する働きが発生します。
この働きが発生する重要な要素が「血糖値」で、血液中の糖質分量が一気に上昇する=エネルギーが多すぎる状態と判断されるため、インシュリンというホルモンの働きで脂肪への貯蓄が行われます。
逆に言えば、血糖値さえ急に上昇させなければ脂肪が蓄積される働きは起こりにくく、糖質を摂取していても脂肪はあまりつきません。
むしろ代謝があがって燃焼されやすくなるので、痩せやすい体作りをする事が可能となります。
血糖値の急な上昇を抑えるためには、摂取する糖質の種類の選び方や、食事のとり方が肝となります。
食事のとり方については食物繊維を先に摂取する事や、そもそも糖質のドカ食いをしないという事が挙げられます。
糖質の種類は大きく分けると3タイプ
ここからは糖質の種類について紹介します。
まず、糖質は大きくわけると3つのタイプ「単糖類」「少糖類(オリゴ糖)」「多糖類」の三つに分ける事が出来ます。
単糖類は吸収されやすく、エネルギーとして利用されやすい
単糖類とは、糖質としてこれ以上に分解できない糖類の事。
食事に含まれる糖分は食べた後に分解され、エネルギーとして利用されやすい形となりますが、その最終的な状態が単糖類。
単糖類はこれ以上分解する必要が無いため非常に吸収されやすく、またエネルギーとしても利用されやすいので短時間で代謝を引き上げる特徴があります。
脳のエネルギー「ブドウ糖(グルコース)」
単糖類の代表的なものは、ブドウ糖と呼ばれる糖分。ブドウとついていますが、ブドウに含まれる糖分を指すのではありません。ブドウ糖という名前は形がブドウに似ているからという説や、発見された当初ブドウから抽出されたからという説があります。
ブドウ糖は脳にとって唯一のエネルギー源とされ、糖質不足で頭がボーっとするのはこのブドウ糖が不足するから。また、血糖値とは血液中のブドウ糖の濃度を指します。
脳のエネルギーでもあるため、体内のブドウ糖が少なくなると、脂肪やタンパク質が分解されてブドウ糖が作られます。
エネルギーとして消費されやすく、代謝を引き上げる力があるため、運動の際などにちょっと摂取すると運動効率を引き上げる事も可能です。
細胞の材料「ガラクトース」
ガラクトースもブドウ糖と同様、体内でも合成される糖分。
ガラクトースはエネルギーとして利用されるよりも神経細胞を始めとした細胞が作られるために必須の糖分で、特に脳が発達していく乳児期には重要な栄養となります。
ガラクトースを適量摂取する事で細胞分裂に必要な素材が揃う事になるので、こちらも美容や健康のために適量を摂取しておきたい糖分です。
中性脂肪になりやすい「果糖(フルクトース)」
単糖類の中で、もっとも注意するべき糖類が果糖です。
果糖はその名前の通り果物などに多く含まれる糖分で、糖の中でも中性脂肪に変わりやすい性質を持っています。
朝の果物が金というように、朝摂取するのであれば一日の活動で消費されやすいのですが、夜に多くとってしまうと太りやすい元となるので注意しましょう。
複数の単糖類がつながった「少糖類(オリゴ糖)」
上記で紹介した単糖類が、2~10個、複数繋がってできたものを少糖類、そしてその一部をオリゴ糖とよびます。オリゴ糖は聞いたことがあると思いますが、糖分の名称というよりも糖分のカテゴリの事なのです。
単糖類と比べて吸収が緩やかで、ものによって腸内の善玉菌の栄養となりやすいなど、積極的に摂取したい性質をもったものもあります。
いわゆる砂糖「ショ糖(スクロース)」
家庭でよく利用される砂糖は、ブドウ糖と果糖が結合してできた「ショ糖」と呼ばれるもの。とても水に溶けやすく、消化吸収されやすい事や、果糖が含まれているため脂肪になりやすいという特徴があるため、ダイエットの天敵とも言えます。
日本人が吸収しにくい「乳糖(ラクトース)」
牛乳などに多く含まれている乳糖。体内に分解酵素があればブドウ糖とガラクトースに分解されますが、日本人の8割は分解酵素が少なく、乳糖が消化吸収されにくい「乳糖不耐症」ともいわれ、牛乳を沢山飲むとお腹が痛くなる人はこのせいです。
乳糖は母乳にも多く含まれ、幼児の栄耀となる他、腸内の善玉菌の餌となってお腹の調子を整える作用や、カルシウムの吸収を向上するといった特徴があります。
血糖値の上昇が緩やかな「麦芽糖(マルトース)」
水あめの主成分である麦芽糖は、ブドウ糖が2つ繋がったもの。
ショ糖と比べて吸収にかかる時間が長く、血糖値の上昇が緩やかであり、ダイエット時の甘味としても利用されやすい糖類。
分解されてもブドウ糖だけなので、エネルギーとしても利用されやすい特徴があります。
きのこなどに多く含まれる「トレハロース」
自然界で多くのものに含まれ、細胞を守るような働きをするものがトレハロース。麦芽糖と同じくブドウ糖がつながった形で、吸収がとても緩やかという特徴があります。
トレハロースは特に昆虫がエネルギーとして利用する糖質でもあり、昆虫が長時間飛行を続けられるのはこのトレハロースをエネルギーとしているからだと言われています。
その他の代表的なオリゴ糖3種
商品名に「オリゴ糖」とついて販売されているものは、「フラクトオリゴ糖」「ガラクトオリゴ糖」などの糖類が入ったもの。
これらは上記で説明した他の少糖類と同じように、結合している糖類の違いで種類がわかれ、それぞれ摂取した時の吸収スピードなどが変わります。
代表的なものは玉ねぎやバナナなどに含まれる「フラクトオリゴ糖」と、乳製品に含まれる「ガラクトオリゴ糖」で、フラクトオリゴ糖は虫歯になりにくい糖分。ガラクトオリゴ糖はビフィズス菌の増殖により腸内環境を整える作用があるとして人気です。
野菜などに含まれている糖分「多糖類」
多糖類とは、少糖類よりもさらに多く、複数の糖が結合してできた糖類。
吸収される糖だけではなく、吸収されない食物繊維も結合しているため、ものによって吸収率やスピードが大きく異なります。
こめやイモなどに含まれる「でんぷん」
食材の糖質として、最もなじみ深い糖分がでんぷんです。
でんぷんは体内で分解が繰り替えされ、最終的にブドウ糖として吸収されてエネルギーになります。
糖質制限の時は、このでんぷんをなるべく取らないようにするという事が中心になります。
筋肉などに貯蔵される「グリコーゲン」
グリコーゲンは食事で摂取する糖分というよりも、体内で合成されて重要な働きをする糖類。
人の体内では肝臓や筋肉に貯蔵され、活動の際に必要に応じて分解され、活動のエネルギーとして使用されます。
筋肉に貯蔵された分が利用されると少し細くなるため、運動で筋肉が分解されたと勘違いされやすい元とも言えます。
食物繊維としてよく使われる「デキストリン」
デキストリンはでんぷんを分解して出来る糖類ですが、人体に吸収されない構造のものが「難消化性デキストリン」という食物繊維として多くのダイエット食品に利用されている事から、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
難消化性デキストリンのように、構造としては糖類であっても、それ以上の分解がされずエネルギーとして吸収できないものは「食物繊維」となります。
食品の栄養表示で、たまに炭水化物が「糖類」と「食物繊維」に分けられているように、従来は糖質だとされていたものも、実際には体に吸収されない食物繊維である場合もあるため、栄養素の表示は注意して確認するようにしましょう。
糖類も味方につけて一層健康や美容に良い食事を!
以上のように、糖類と一口にいってもその種類は様々。
摂取する糖類を選び、分量なども気を付ければ、代謝を向上して健康や美容に役立てる事も可能です。
糖質だから避けるべき。と考えるのではなく、糖質も味方につけて、ダイエットやスキンケア、フィットネスをより良い形で取り組みましょう!