防風通聖散は「肥満症」の保険治療にも使われる漢方
太っているか痩せているかを判断する基準に、体重÷身長の二乗から導きだされるBMIという数値があります。
BMIは健康診断などで見たことのある人が多いと思いますが、このBMIが25を超えると脳卒中や心筋梗塞といった健康面でのトラブルが発生する確率も高くなるため、肥満状態として考えられ、日本国内では約2割の2,300万人ほどが肥満状態といわれています。
ただし、BMIだけでは筋肉質で体重が重い人も含まれてしまうため、医学的にはもう一つの指標として内臓脂肪の量を基準としたものがあり、女性であればウエストが90㎝以上、男性であれば85㎝以上になると、治療が必要な「肥満症」、いわゆるメタボリックシンドロームとして判断されます。
この肥満症は日本国内に1,100万人程度いるとされています。
そんな肥満症の改善に、保険診療で認められている漢方薬が「防風通聖散」で、これはつまり国から正式に肥満の改善に効果があると認められている漢方薬だという事が出来ます。
防風通聖散は脂肪の分解によりダイエット効果を引き上げる
なぜ防風通聖散が肥満の改善に効果的かというと、一つ目の理由が体脂肪の分解促進。
防風通聖散には合計18種類の生薬が配合されていますが、その一つである「麻黄」に含まれるエフェドミンという成分が、脂肪の分解を促進する「ノルアドレナリン」というホルモンの分泌を強化。更に、脂肪細胞がノルアドレナリンの影響を受けやすくするという作用があるため、強力に脂肪の分解を促していきます。
また、麻黄の他に配合されている「甘草」「荊芥」「連翹」といった生薬は、脂肪分解を促すノルアドレナリンの効果を持続させる働きを持っているため、防風通聖散を飲んでから暫くの間は継続して脂肪の分解が促進されるのです。
運動によって脂肪を燃焼させるためには、ホルモンの分泌→脂肪分解酵素の活性化→脂肪を遊離脂肪酸に分解→筋肉が遊離脂肪酸をエネルギーとして消費という一連の流れを経る必要がありますが、防風通聖散の服用によって脂肪の分解までをスムーズに行う事で、脂肪を速やかに燃焼しやすくなるのです。
余分な「油」の吸収を抑える
防風通聖散がダイエットに効果的な理由は脂肪の分解促進だけではなく、そもそも脂肪がつくのを抑えるという働きもあります。
マウスによる実験の研究報告によると、防風通聖散を服用する事で便の量が増加し、更に便に含まれる脂質が149%、コレステロール量は159%に増加したというデータがあり、便によって排出される脂質が増えたという事は体内で吸収される分が減少したという事。
脂質はエネルギー量も多く脂肪の蓄積に繋がりやすいため、脂質の吸収を防止して排出を促すこの効果はダイエットの後押しとなります。
防風通聖散を飲むだけではなく運動も取り入れて!
以上のように脂肪の分解や蓄積防止に効果を発揮する防風通聖散ですが、防風通聖散による効果を最大限発揮するためには運動を行う事も大切です。
防風通聖散を服用するだけでも脂肪が燃焼されやすくはなるのですが、折角分解された脂肪もエネルギーとして使われなければ再度脂肪細胞に蓄積されてしまうので、エネルギーとして消費を行う運動は必要になってくるといえます。
一点防風通聖散の利点としては、消費できるエネルギーが多くなるため運動によって疲れにくくもなり、運動を苦手と感じにくくなるというメリットもあるといえます。
防風通聖散は空腹時、なるべく早いタイミングで飲むと良い
防風通聖散の効果を得やすくするためには、なるべく空腹時に服用するようにしましょう。
空腹時に摂取する事で成分が吸収されやすく、また体内にエネルギーが無い状態なので脂肪の分解が促進されやすくなると言えます。
逆に、食事前30分以内や食後2時間以内に摂取すると脂肪の分解を強力に抑える「インスリン」の働きなどもあるため、効果を発揮しにくくなります。
また、防風通聖散は過剰摂取などによるトラブルも存在するため、1日三回、用法や用量を守る事は大切ですが、可能であればなるべく早めの時間に飲むようにしましょう。
というのも、夜寝る前に飲んでも睡眠中はエネルギーの消費があまり行われないため、なるべく起きて活動している時間帯に防風通聖散の効果を発揮させる必要があるためです。
朝起きたら水と一緒に1回目。お昼ご飯と夜ご飯の1時間前くらいに1回ずつ、計3回服用するというような飲み方などがおすすめです。
ダイエット効果を高めるために是非利用して!
防風通聖散はそれだけで脂肪を劇的に減らすような魔法の薬ではありませんが、脂肪の燃焼を高める事ができる確かな効果のある漢方薬。
ダイエット効果を最大限高めるためにも、是非積極的に利用してみてはいかがでしょうか。