清潔にするため頻繁に洗うのは危険
「ニキビは菌が繁殖している」「ニキビの原因は皮脂汚れ」なんていう言葉から、ニキビを解消するためにはとにかく清潔に保たなければと考える方が多いですよね。
そして、清潔に保つために洗顔を頻繁に行うという人も多いと思いますが、これはNGケア。
頻繁な洗顔がNGとなる理由の一つが保湿機能の低下
その理由は2つあり、一つは肌の保湿機能の低下。
肌には天然保湿因子やセラミドなどで出来た細胞間脂質、そして皮脂といった保湿機能があり、肌の保湿がしっかりと行われて潤いが保たれる事で、外部からの刺激に対する防御機能を発揮しています。
しかし、頻繁に洗顔を行うとこの保湿成分を除外してしまうため、肌が乾燥しがちに。肌が乾燥しているとその乾燥を防ぐために皮脂の分泌が増えてよりニキビが悪化しやすい状況になりますし、更に皮脂以外の保湿成分については自力ですぐに回復しないため、充分に潤いが回復しないという状態になります。
潤いが不足すれば肌は刺激に弱くなり、ニキビも悪化しやすくなってしまいます。
肌の弱酸性バリアが回復するまでには時間がかかる
もう一つの理由は、皮脂膜が作る肌の「弱酸性」バリアを除去してしまうこと。
肌は表面を皮脂で出来た皮脂膜が覆っていますが、皮脂膜は水分の蒸発を防ぐ以外に、肌を弱酸性に保って菌の繁殖を防ぐという働きがあります。
雑菌は酸性に弱いため、肌が弱酸性に保たれている事で繁殖できなくなり、肌のダメージを防ぐ事ができるのです。
しかし、洗顔によって皮脂膜を落としてしまうと、肌は一時的に中性か、アルカリ性の洗顔料を利用していればアルカリ性に傾きます。
この状態では雑菌の繁殖を防ぐ事が出来ないため、肌がダメージも受けやすくニキビも悪化しやすい状況に。
洗顔後は30分から数時間程度の時間をかけて再び皮脂膜が作られていくため、徐々に中性から弱酸性に戻りますが、この間は肌が刺激を受けやすく、更に肌の状態によっては完全に弱酸性の状態に戻らない事もあるので、ニキビだけではなく他の肌トラブルも引き起こされやすくなります。
洗顔は就寝前の1回か、多くても朝夜の2回で
基本的に、洗顔は就寝前の1回でメイクなどと一緒にしっかりと汚れを落とせばOK。もし皮脂の分泌が多くて朝起きた時の肌コンディションが気になるようであれば、朝は保湿成分を落とし過ぎないような優しい洗顔料を使って、軽く落とすようにすると良いでしょう。
もちろん、運動などによって大量に汗をかいたり汚れが付着した場合は洗い流した方がいいですが、過剰な洗顔はやめておくようにしましょう。
肌のバランスを崩す洗顔料の使用
洗顔の回数は適切でも、肌のバリア機能を壊してしまうような洗顔料を使っていては、肌のバランスが崩れてニキビが悪化しやすい状況になってしまいます。
ニキビのような肌トラブルを解消するためには、肌そのものの力を壊さないような洗顔料を使うようにしましょう。
肌を薄くする洗顔料
注意が必要な洗顔料の一つ目は、肌を薄くするタイプの洗顔料。
例として、ピーリング石鹸や酵素石鹸、スクラブ洗顔料などがあります。
ピーリングは肌の表面を「酸」によって溶かすもので、酵素石鹸は肌のタンパク質や脂質を分解する酵素を利用する事で角質の表面を溶かす物。
これらの洗顔は肌表面を薄くするため、ニキビの毛穴詰まりを一気に解消して今あるニキビの早期ケアには適していますが、使い続けると必要以上に角質を削り取って保湿機能やバリア機能を低下させ、ダメージを受けやすい肌になります。
ピーリングや酵素洗顔を利用する場合は、その頻度や洗顔後のケアに十分気を付けましょう。
また、スクラブ洗顔はよく「毛穴の奥に入り込んで汚れをかきだす」と表現されますが、実際には殆どの場合でスクラブによって肌表面を削り取っているだけ。
肌表面を削り取るという意味ではピーリングや酵素洗顔と同じですが、スクラブの場合は物理的に削り取るため肌に凸凹が出来やすく、その後の保湿ケアなどもやりにくくなりやすいという問題があります。
また、ものによっては実際に毛穴の内部にスクラブ(小さなプラスチック)が入り込むものもありますが、こちらはより深刻で、少し考えればわかる事ですが毛穴に入ったスクラブは必ず全て出てくるわけではなく、中に残り続けてしまうものもあります。
実際に、スクラブが毛穴に入り込んで視力などに影響を及ぼしている例も多く、細かすぎるスクラブ入りの洗顔はニキビ解消とは無関係に避けておいた方が良いでしょう。
肌に残り続ける洗顔料
洗顔後、肌が乾燥せず潤い続ける洗顔料も、モノによっては注意が必要。
というのも、洗顔して皮脂を除去しているのにツッパリ感もなく、肌が潤っているという事は肌になんらかの成分が残り続けているという事。
この成分が肌に安全なものだけであれば良いのですが、洗顔料に利用されている保存料など肌への刺激になるものも残り続けてしまう可能性があり、肌へのダメージやニキビの悪化に繋がります。
こうしたトラブルを避けるため、必ずしも純石鹸がベストとは言いませんが、洗顔料はなるべくシンプルに肌へ何も残らないものにした方が安全です。
強すぎる殺菌成分の洗顔料
ニキビはアクネ菌の増殖が直接の原因になるため、殺菌効果によってニキビの解消を図ろうとするものも多くあります。
しかし、これも強すぎれば逆効果。
肌にいる常在菌を排除しすぎてしまうと、肌を弱酸性に保つ皮脂膜のバリアも作られにくくなりますし、肌を守っていた菌のバランスが悪くなって肌にダメージを与える菌が増えやすくなる場合もあります。
また、そもそもニキビが出来ている部分だけ強い殺菌を行うのであれば良いのですが、洗顔は肌全体を均一に行ってしまうとトラブルが無かった部分も強い殺菌成分をもった洗顔料で洗う事になり、これが肌への刺激となる場合もあります。
殺菌を行ってニキビを早期解消するのであれば、ピンポイントで塗れる軟膏などを利用した方がいいでしょう。
肌をゴシゴシと擦って洗う事はダメージの原因に
洗顔はしっかりと泡立てて優しく。これは良く言われている内容ですが、ニキビが出来ている場合は特に重要。
その理由として、ニキビが出来ている箇所は毛穴内部に膿がたまり炎症している状態なので、そこを押したり擦ったりしてしまうと毛穴内部に膿が押し当てられ、よけいに悪化する原因となりやすいからです。
洗顔を行う際は、泡立てネットなどを利用し十分に弾力のある泡を作り、手が顔の肌に触れないように、泡を滑らせて洗うようにしましょう。
手で直接触れないと洗った気がしにくいですが、洗顔料が汚れを浮かす力は強いのでこれで十分に汚れや皮脂を落とす事ができます。
洗顔後の保湿を「サッパリ化粧水」だけで行う
ニキビは毛穴内部に皮脂が詰まっている状態。そのため、あまりベタベタとした保湿をしたくなくてサッパリタイプの化粧水だけで保湿をすませてしまうという方は多いと思います。
でも実はこれもNGケア。これには2つの理由があります。
サッパリタイプの化粧水はアルコールなどが含まれている場合がある
一つ目の理由は、付けた後肌がサッパリと感じるようなタイプの化粧水には、アルコールのような揮発性の高い成分が配合されている事が多いという事。
このタイプの化粧水はつけた瞬間はスッキリしますし、潤いは追加されたように感じるのですが、肌の水分を蒸発させてしまうという働きもあるため、潤いによる肌のバリア機能は低下しがち。
付け心地がスース―するようなタイプは保湿機能が不十分である可能性が高いので、肌トラブル解消のためには避けた方が良いでしょう。
化粧水だけでは保湿が不十分
そもそも、肌の保湿を行うためには殆どの場合で化粧水のみのケアでは不十分。
化粧水はその多くが水分主体のスキンケア用品で、潤いを保つ油分系やヒアルロン酸などの成分は少な目である事が多く、化粧水のみのケアだと時間経過とともに肌が乾燥しがちなのです。
肌の保湿機能は「肌に充分な水分がある事」「肌内部に保湿成分があること」「肌表面でフタをする保湿成分(皮脂)がある事」という3つの要素で成り立っていますが、化粧水でケアできるのは十分な水分という一つ目の項目部分。
肌内部の保湿にむけてナノ化ヒアルロン酸やセラミドの美容液、肌表面のフタのためにクリームといったケアを全て行う事で、肌の潤いを十分に保つ事ができるようになります。
とはいえ、ニキビが出来ている状態は肌に蓋をしてしまうと悪化する可能性もある事から、肌表面をクリームなどで保湿するのは肌の様子をみつつ程々に。肌内部の保湿成分を美容液などでしっかり追加するケアをしっかり行うようにすると良いでしょう。
素早くニキビを解消するためには
以上がやりがちなNGケア方法になりますが、では実際にどのようなケアを行う事がベストなのでしょうか。
正直な事を言えば、ニキビと一口にいってもその人の現状の肌状況や、ニキビができた根本の原因、ニキビの段階などによって最適なケア方法は変わるため、一概にこの方法がベストというものはありません。
しかし、あえて誰しも同じように取り組むべきというものを上げるとすれば、それは
・シンプルな純石鹸を利用し
・泡が肌に押し付けて弾力を感じるくらいまで泡立て
・摩擦をしないように洗顔をして
・充分に洗顔料を洗い流して絶対に肌に残さないようにし
・ニキビはピンポイントでしっかりとした医薬品によって殺菌し
・肌への刺激とならないヒトセラミドなどの保湿成分で潤いを保つ
というスキンケアの基本となります。
早く何とかしたいという思いから様々なケアを取り入れる事は、いい方向に進む場合も悪化させる場合もあるため、まずは基本のスキンケアをしっかり行うようにしたうえで、自分の肌の状態をしっかりと見極めて対策を行うようにしていきましょう。