結論を言えばセラミドの飲用がスキンケアに「意味がある」というデータはある
セラミドを飲んで意味があるのかどうか。
主観や理論ではなく、やはり一番重要なのはちゃんとしたデータがあるかどうかだと思いますが、セラミドについては飲む事によって肌の水分保持力が上昇したという研究データがしっかりと存在します。
それも、どこかの研究機関が独自で発表しているものではなく、厚生労働省から「トクホ(特定保健用食品)」の認可を受けた事例もありますので、エビデンスとしては十分信頼できるものと言えるでしょう。
トクホや機能性表示食品として認められているものがいくつか存在しているので、その事例を紹介します。
資生堂 素肌ウォーター
2016年4月に、始めて肌への効果が認められて「トクホ」の認定が得られたものが、資生堂の素肌ウォーターです。
植物セラミドであるグルコシルセラミドが配合された飲料を飲み続ける事で、肌の保湿力をアップさせる作用が認められ、「肌が乾燥しがちな方に適す」という表記を行う内容でトクホの認定を受けています。
効果については、飲料として摂取した植物セラミドは消化の働きによってグルコースとセラミドに分解され、さらにセラミドがスフィンゴイド塩基と脂肪酸に分解されて吸収という形になったあと、再度セラミドとして合成される事で皮膚の保湿力アップに繋がるというもの。
当たり前ではありますが、飲んだセラミドがそのまま肌にたどり着くわけではなく、一度セラミドの材料として分解吸収された後で、セラミドの材料として利用される事で乾燥しがちな肌の改善に繋がるという形になります。
トクホ認定を受けているため、それなりの効果は実証されていると言えますが、この素肌ウォーターは実際の販売には繋がっておらず、「肌トクホ」の認定第一号ですが商品を購入する事はできない状態のままとなっています。
オルビス ディフェンセラ
素肌ウォーターに続き、肌トクホの第2弾として2017年12月に認定を受けたものが、オルビスのディフェンセラです。
素肌ウォーターとほぼ同じ内容で、こちらは米由来の植物セラミドを粉末状にし、飲用する事で肌の保湿力をアップさせるという内容になっています。
ディフェンセラについては2019年から実際に販売が開始され、2019年現在ではこちらが唯一購入可能な肌トクホ商品になっているので、トクホとして認定を受けた確かな商品を試したいという方は一度試してみてはいかがでしょうか。
資生堂 飲む肌ケア(機能性表示食品)
トクホを取得している資生堂が、トクホではなく機能性表示食品として販売しているセラミドケアサプリが「飲む肌ケア」です。
機能性表示食品とは、国側がその有用性を認可したというものではなく、適切なデータなどを企業責任によって提出する事で特定の機能についての広告表示が認められたもので、トクホ程ではありませんがある程度信憑性があるデータがそろっているという事ができるものです。
飲む肌ケアにはこんにゃく由来の植物セラミドが配合されていて、「肌の水分を逃しにくくする」という表記になっています。
セラミド飲用による効果の研究データ
ここまで、トクホや特定機能食品として認可を受けた事例を紹介しましたが、より具体的なデータとして、日本製粉が公開しているセラミド飲用の効果があります。
こちらで紹介しているデータでは、米由来のグルコシルセラミド1.2mlを1日1回、カプセルにて飲用し続けた所、6週間で肌の水分量が約2倍になったというものや、トウモロコシ由来の植物セラミド10㎎を同じく6週間飲用し、水分量が1.5倍になったというものがあります。
日本製粉からも機能性表示食品でセラミドサプリが発売されていますので、セラミドサプリの効果を試したいかたはこちらもおすすめです。
セラミド飲用が肌ケアだけではなくメタボ改善になるという研究も
ちなみに、セラミドの飲用については、肌のケアだけではなくメタボ改善に役立つという研究も報告されています。
佐賀大学の研究によれば、米麹由来の発酵食品セラミドを摂取する事によって、小腸での吸収後にセラミドとして再合成される他、中性脂肪の吸収阻害などによりメタボ改善に役立つという事が紹介されています。
そもそも何故セラミドを飲むと肌に良いの?
以上のように、様々な研究データでセラミドは飲む事でも肌のケアに役立つという評価がされています。
しかし、「コラーゲンは飲んでも結局胃腸内で分解されるから意味がない」という話と同じように、セラミドも分解されて吸収されるから意味がないと思う方も多いのではないでしょうか。
実際、トクホ認定を受けている届出をみても、セラミドは一度分解されて吸収されるという事は明確になっています。
吸収されたセラミドがすぐに再合成されるという研究が有る
セラミドが分解吸収されるなら、結局意味はないのでは? という疑問を解消する1つの研究として、北海道大学とサッポロビールがラットを用いた研究があります。
この研究では、植物型セラミドが体内で合成できないラットに植物セラミドの分解物を与えた所、小腸内で植物型セラミドとして再合成されたというもので、分解吸収されたセラミドが体内で再合成されるという事を示しています。
ただ、肌の保湿として働くセラミドは肌のターンオーバーの流れで作られるものなので、小腸で合成されたセラミドがそのまま肌の保湿として役立つというものではないでしょう。(前述のメタボ改善などの効果はありそうです)
この研究が示す所は食事によって得られたセラミドの原料は、体内でセラミドの合成をするために役立ちやすいという受け取り方をする程度が良いかと思います。
そもそも通常の食生活でセラミドの原料が十分摂取できていない可能性
ここからは確実な内容ではなく推測も入るのですが、セラミドをサプリで飲む事で良い効果が得られる理由として、そもそも私たちは普段の食事から十分にセラミドの原料を摂取する事が出来ていないという点が考えられます。
一応、普通に食事をしていればセラミドの原料は十分にとれるという事にはなっているのですが、ストレス社会ともいわれる現代では、摂取した原料がセラミドの合成ではなく他の部分に使われてしまっていたり、食品自体の栄養価が下がっていたりという理由から、体内のセラミド原料が足りていないため、作られるセラミドが減ってしまっている事から、サプリで補う事が必要というものです。
また、食品からのセラミドが腸内で吸収されるためには、食品の細胞膜など消化が必要になる部分が多いのですが、セラミドサプリであれば吸収しやすい状態に最初からなっているので、セラミドの原料を体内に取り込みやすいという事も考えられます。
いずれにせよ、サプリメントで補う事によって効果が出るという事は、普段の食事ではセラミドが不足しがちという事でもあるので、毎日の生活にセラミドサプリを取り入れて、全身の保湿力をアップさせるというのも美肌を目指すためには有効です。
飲むセラミドの場合は植物セラミドでOK
ちなみに、スキンケアコスメとして利用する場合はヒト型セラミド以外は十分な効果を得られないのですが、飲む場合は植物セラミドでもしっかり効果が出ます。
実際、紹介したトクホや機能性表示食品は全て植物セラミドによるもので、あくまでもい胃腸内で分解してセラミドの原料として吸収されるため、ヒトセラミドである必要がないのです。
もちろん、ヒト型セラミドの方がより肌のセラミドの材料として使われやすい事は考えられますが、植物セラミドなどと比べれば高価になりやすいので、コスパがあまり合わないと想像できます。
ヒト型セラミドが配合されているものとしては、天然ヒト型セラミドを麹菌から世界で初めて合成したジェヌインR&Dから発売されているものなどがありますが、こういった原料メーカー直販のような形でコストを抑えた商品であれば試しやすいかもしれません。
セラミドを飲んで潤いケアを!
セラミドは、スキンケアコスメで利用するのももちろん良いのですが、可能であれば体内で合成される量を増やす事が、保湿ケアに大きく役立つ事は間違いありません。
トクホ認定など確かな効果が実証された商品も出てきていますので、特に肌が乾燥しがちと思う方は、是非飲むセラミドも取り入れてみてはいかがでしょうか。